Chika Matsuda Solo TOPOS Highland H.R 02

投稿日:

4Q0C2452
松田朕佳 Chika Matsuda Solo
http://chikamatsuda.com/
01,June.2013 – 30,June.2013
11:00 ~ 20:00
at Haricot Rouge
トポス高地 アリコ・ルージュ 2013 02
TOPOOS Highland Haricoit Rouge 2013
欧風家庭料理店「アリコ・ルージュ」
長野県飯綱町川上 2755 飯綱東高原 飯綱高原ゴルフコース前
phone 026-253-7551
営業時間12時~20時30分
休館・定休日 火曜
http://homepage3.nifty.com/haricot/
>> toposhr2013-02 / setting & price PDF(566KB) / 01,June.2013 update


    松田朕佳の制作

     モノ派やプロセスアートに共鳴したという世代的には珍しい触手を持って制作を行う松田朕佳は世界自体へ身を投げ出す観測者でありその観測記録を報告する研究者ともガイドとも感じられる。人間の雛形認識や類型知覚の隙間に尖った針を差し込んだ半世紀前のコンセプチュアルなあるいは方法論的なアートムーブメントや言説をよくよく観れば、例えばこの国の過去より連綿と続けられている連句やお茶などの手法に同様のエッセンスが鏤められているし、古代の遺跡を探れば有り様自体に知覚変異を促すものがある。彼女の共鳴とそれからの実現はレトロな感傷ではなく現在有効に機能するという確信犯的な眼差しによって遂行されている。
     「ものを考えた」という表出表象は、言語や空間に依存し事前に約束された共有認識にて蓋然的予定調和として受け止めるしかないとすると、新しくものを考えたわけではないというパラドックスに陥る。つまり考えるということ自体がフォーマット化されている必要をシステムが無理強いするわけだ。閉塞するビジネスコンプライアンスなどを考えると判りやすい。我々は兎角知らぬうちにこうした錯覚に囚われている。
     松田朕佳の考え方は、廃棄されたオブジェやデバイスの本来の目的と意味を剥ぎ取りふっと息を吹きかけ全く別の意味や寓話や詩的地平を現す。あるいは自らの軀をトレースするように断片を物質化させ、固有名と物質断片と自らの軀との新しい関係を示しつつ、その隙間に存在するしかない彼女自体という霊性を示唆する。あるいは存在の意味を逆転させる置き方などをして自明の筈だが潜在して隠れた事象を明晰にしようとする。それを眺める我々は驚くのではなく世界現実は未知であるという彼方を知ることになり知覚を尖らせねばならない。こうして観る者は「ものを考える」という始まりに立っていることに気づく。
     人の居なくなった世界に散乱する廃墟を想像するとそのあまりに人間的な所業の惨たらしさに目を背けたくなる。せいぜいまだ人間が充ちているこの世界では、人間的な意識が肉体を自在に離れ様々に変容する気配のようなモノと成って、大気を吸い込むように経験する豊穣を楽しみたい。 ー 文責 / 町田哲也


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