Ami Imai TOPOS Highland 2016_09 H.R

投稿日:

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今井あみ Ami Imai Solo
3,December.2016 – 24,December.2016
11:00 ~ 20:00
at Haricot Rouge
トポス高地 アリコ・ルージュ 2016 09
TOPOOS Highland Haricot Rouge 2016
欧風家庭料理店「アリコ・ルージュ」
長野県飯綱町川上 2755 飯綱東高原 飯綱高原ゴルフコース前
phone 026-253-7551
営業時間12時~20時30分
休館・定休日 火曜
http://homepage3.nifty.com/haricot/

artists web http://imaiami.net >>

works price list : toposhr2016-9 >> PDF


 画家の手にするのは筆とは限らない時代となって半世紀以上過ぎ、画家は美術家と肩書きを変更し、手にしたツールとその使い方を手法化する装置(システム)の改良を続けることで、「絵画」ではないかもしれない作品深化を目論む。
 トポス高地2017「平面の手触り」とサブタイトルを与えた最終回で開催されている今井あみ展では、この一年で画家は美術家と自主的に肩書きを変更したというより、もともと画家として「ビジョンを描く」位置には立っていなかったことを自覚し、自らが自在に振る舞うことのできる「装置」の初動態の展開を示した。
 その仕組みは、薄い皮膜を小さな単位で切り抜くという単純な作業であり、行為性の行方の信頼度を確かめるかのオールオーバー(全一的)な反復から、新作ではその切り抜かれた単位の「流れ」の形成する余白が、有機的な形態を浮かばせる副次的に展開する構造になっている。切り抜く行為と効果を殊更に識別特化させない、抑制の色彩・コントラストは、皮膜下に置かれた色彩に依存するので、ビジョンの設計は理念的に予め用意することはできない。つまり段階的に先の見えない構造を構成する仕組みに作家の選択(意思決定)と構成への折衝の自由度が都度試される仕掛けといえる。
 具体的に共有できる「イコン」的な絵を描かなくても、仕掛けを探求することで、自らの感性が表出できることを知った画家は、「何を描くか」から「どのように描くか」へ自身の本来的な軸を寄り戻し、薄い皮膜を手際良く切り抜くことのできる鋭い刃を手にして、土木作業の人間が重機で路面に対峙するような眼差しで、従来の描くといった態度ではない手触りの作品画面を手に入れた。システムの初動期であるから、作品画面の未熟は可能性と甘く示される。しかし未解決が未解決と示され、不足が不全と明瞭になることは、システムのもたらす健全さであり、改変改良深化の行方を照らす有効な土台と証されているようなものだ。画家はこの仕組みによってようやく「イコン」を描くかもしれないし、具体的なイメージを共有する絵画性に辿り着くかもしれない。あるいは構造をスライドさせた立体やインスタレーションも可能だろう。
 所謂この「*プリベンション」(宇佐美圭司)こそが、作り手が作家と成熟するタームを形成する基盤であることは、作品のみが唯物的に示す。

*企画予定されているナガノオルタナティブ2017のサブタイトル。画家宇佐美圭司(1940~2012)著作「絵画論」(1980年発刊)で示された概念。

文責 町田哲也


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