吉田昌司 Shoji Yoshida Solo
1,May.2017 – 31,May.2017
11:00 ~ 20:00
at Haricot Rouge
トポス高地 アリコ・ルージュ 2017
TOPOOS Highland Haricot Rouge 2017
欧風家庭料理店「アリコ・ルージュ」
長野県飯綱町川上 2755 飯綱東高原 飯綱高原ゴルフコース前
phone 026-253-7551
営業時間12時~20時30分
休館・定休日 火曜
http://homepage3.nifty.com/haricot/
works price list :toposhr2017-2 >> PDF
作家ステートメント
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5月1日〜5月31日まで長野の飯綱高原にある欧風家庭料理店「アリコ・ルージュ」で展示します。
ドローイング8点と陶器作品4点、ガラス作品1点を展示すします。
よろしくお願い申し上げます。
吉田昌司
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作家URL >> http://www14.plala.or.jp/y-shoji/
060117-01 from toposnet on Vimeo.
作家自身の生活そのものを詳しく知るわけではないが、介護系の仕事で生活を支える時空に、彫刻制作を長々と置き、年に一度は銀座画廊にて個展を行うペースで、独自の形象思考を指先にこつこつと成熟させてきた彫刻家と昨年に出会い、充分な準備期間を挟まずにいきなりナガノオルタナティブ出展参加をお願いし、結果的には、15年以上の作家の制作経緯を俯瞰するような体裁で、内外にひとりの彫刻家のリアリティーを示すことが可能となった。本人も自らを振り返る好機となったと喜んでくれた。
想定観察対象を取り込んで触覚思念再現する具象彫刻を出発点に刻んではじまった彫刻家の作品制作の歩みは、具象彫刻から流体的な簡略(抽象)化を経て、再び肖像的な頭をぽつんと乗せる陶器へと移ろいつつある。流体化で得たと思われる曲線の交錯の織りなす形象展開は線が束ねられ放出する絵画的なドローイングともなり、現在は磁器作品へと試行をはじめている。5/7に磁器作品の窯出しがあり、新たな磁器作品の追加展示が可能になるかもしれない。
粘土塑像というボリュームを指で捻りだす作業は、石膏型取り、鋳造変換などの過程を経なければ、作品の固着化がむつかしい。抜き型の縛りもあり、キャスティング(鋳造)の金属への変換も、容易い作業とはいえない。彫刻家によっては、この制作過程自体を偏愛するバイアスを持つ者もあり、あるいは全行程を発注ですます者もある。FRP(繊維強化プラスチック)造形によるコンスクエンスを十年以上継続させたこの彫刻家の、陶器、磁器への移行は、粘土塑像への回帰と、その原初的塑像の触感を最短で結ぶ新たな帰結として選ばれ、彼の文脈では、生活雑貨的セラミックオブジェ(器や茶器)ではない、この地域では郷土玩具として愛されている土人形(中野土人形)、土雛人形ににじり寄り、あるいはまた浮かばせる、彫像と環境の狭間に置かれるかの肖像土偶は、場所の歴史性質を取り込んだ、新しい位置を示している。
はじまりでは時代先鋭の洗礼を受け学び、地より踵が浮かんだような状態で自らの可能性を模索するのは、創造する者の常だが、長い時間をかけてふわりと着地した様態は、環境に溶けつつ時空自体を活性するエポックを孕む爽やかさがある。彫刻家の真摯な振舞い、佇まいとして、これからまた長々と継続されるだろう、作品制作を、彼はより上質なものにするに違いない。
文責 町田哲也