梅田明雄 Akio Umeda Solo
02,July.2014 – 31,July.2014
11:00 ~ 20:00
at Haricot Rouge
トポス高地 アリコ・ルージュ 2014 03
TOPOOS Highland Haricoit Rouge 2014
欧風家庭料理店「アリコ・ルージュ」
長野県飯綱町川上 2755 飯綱東高原 飯綱高原ゴルフコース前
phone 026-253-7551
営業時間12時~20時30分
休館・定休日 火曜
http://homepage3.nifty.com/haricot/
toposhr2014-03 >> PDF / 梅田明雄展示作品価格表
そっと髪にふれる
2012年のトポス高地回遊プロジェクトから参画された梅田氏にとってトポス個展は三回目となる。
リトグラフの刷り師である彼に企画を持ちかけたのは、彼が木版画制作を行いはじめた時期でもあり、同時にわたしがさまざまに関わりながら人間的な関心を深めていったからだが、彼も段ボールを支持体とした制作をこのプロジェクトの為に温存反復させて、毎回成熟と遊びの含まれた展開を清々しく行っている。2012年の文字の解体と再構成から展開をはじめた作品も2013年の、肖像的な展開を経て、更に伸びやかに同時に精緻な手法を重ねる作品展開となった。
音楽好きの父親の影響で幼少より洋楽に親しみ、音楽の道を選ぶわけではなかったが、学部が併設された大学へ進み、今でもベースを弾きながらコンサートなども行う。森工房で12年間技術を磨き、独立して、梅田リトグラフ版画工房を主催し19年経過した。内外の版画製版刷り業務と併行して様々なアートイベントを率先し、立場や世代を越境するネットワークをつくりながら、昨年よりFLATFILE主催モリヤ氏とFLATBARのカウンターに週に二度立って、ゲストを迎えている。
平たく考えれば30年の技術者。頑固なマイスターということだ。が、彼の頑固さは保守的な一途なものではない。人間の生き方は多様であり、自由であり、明るく光りに照らされていることが望ましい。リトグラフの刷り師としての技芸を磨く事で職人的な拘りとプライドが構築されることは予想に難しくないけれども、同時に藝術をそこへ投入することは簡単ではない。技術と藝術との見極めが困難な仕事ともいえる。仕事の基本はクライアントである作家をリスペクトすることからはじめる。と彼はきっぱり言い切った上で、製版と刷りの詳細を知らないクライアントの作家たちの、出鱈目に近い欲望を、リスペクトを捧げて叶えるサンタクロースのような寛容と想像力が、彼には培ったわけだ。あるクライアントの作品のほとんど総てを梅田氏の想像力で完成へ向けている業務光景を眺めた時、わたしは作品の制作者が一体誰であるのか首を傾げて溜息をついた。
通常の仕事の真逆と本人が感じ取った、段ボール素材のコラージュ的作品制作は、そういった梅田明雄のみが知る生きてきた道程の意味や想いや解釈や直観や知覚が堆積して醗酵したように通常の業務からやんちゃに離脱した手元から芽が伸びるように成立しているようにも見える。
彼の作品は半世紀を生きた大人の自由を奔放に満喫するカタチでありながら、世代を超えて共感表出する形態をもちつつ、だがある時しっかりと、独りで工房の片隅にひっそりと持ちかえり、青年の頃のような熱っぽい目元で呻きながら自己をみつめる孤高存在を証明する時もあるだろう。だから彼には継続反復を期待し、内向と展きのあたらしい成熟を、同じ時代を生きる者として、リスペクトして絶えず「いつまでもうたってね」と待ちたいと思う。
文責 町田哲也
Akio Umeda / TOPOS Highland 2014 from baeikakkei on Vimeo.